![]() 戦争当時はこんもりした大きな松の木林だった「万歳山」のお話を続けます。 『(小泉分教場での)壮行会が終わるとみんなで "勝ってくるぞと勇ましく…… " と勇ましい軍歌を大声で歌いながら、日の丸の小旗を振り振り、万歳山までの道を送っていきました。そして、この場所を切りに哀別したのです。 出征兵士は、たとえ、それが永遠の別れになる運命であろうとも、「これからお国のために、滅私奉公し、元気で征って参ります……」と大きな声であいさつをし、涙をこらえて敬礼をしなければなりませんでした。 送る人々の中には、ここが父との永遠の別れの場所となることもしらず、母親に抱かれて無心に手を振る幼子の姿もありました。また、身重の体で夫との別れに涙をかくす妻の姿もあったことでしょう』 戦地に発った人々は長坂だけでも1000人を超えたといいます。広報ながさか413号(2002年8月号)には、90歳近くの方の手記 ーー 子を背負って見送った夫が形見もなしに帰らぬ人となった悲しみ ーー が綴られています (1)。また、425号(2003年8月号)にも、90歳の方の「飢えと寒さの(シベリア)抑留生活」 (2) また82歳の方による「グアム島回想記」 (3) が掲載されています。 (1)「かけがえのない尊い命も、人の心も、何もかも破壊する戦争の無益さ、今もあの戦争を引き起こした者への憤りは鎮まることはありません。二度と再び悲惨な戦争はしてはいけない。悲劇は繰り返してはならないことを、遺族である私たちが声を大にして訴え続けていく使命があると思います。また、このことを風化させてはなりません。過去を教訓に、これからは常に平和の世であることを願ってやみません」 (2)「戦争とは何か……。それは国を亡ぼし、人を亡ぼす、最大の罪悪が戦争。未来永劫平和でなければならない。また、世界の平和、人類仲良くの思想をみんなで広めなければならない……年齢90歳、歳を重ねる毎に、この思いを一層強くしている」 (3)「さまざまなことが続いた激動の「昭和」であった。私どもは、戦前、戦中、戦後を生きてきた。その年代を生きてきた者の為すべきことは、「二度と戦争をしてはならない……」、このことの意義を忠実に若者達に伝えること……それに尽きるように私は思い続けている」 これら戦争体験者の方々は私の親の年齢でもあります。老いた身を鞭打ち、声を振り絞っての結びの言葉は私たちへの遺言のように響きます。 かつては耕地が広がっていた村境に今では中央道が走っており景色は一変しましたが、「万歳山」は今もこんもりとした松の木林(写真)です。中央道韮崎〜小渕沢間が開通した昭和51(1976)年12月に陸橋が掛かり、秋田村の字名米山から「米山橋」と名付けられた橋は町なかと旧小泉村を結んでいます。建岡神社の裏の木立ちの辺りはスポーツ公園へと変わりました。当時の新聞には『高速道路では日本一高い所を走る "高原ハイウェー" で景観もすばらしいが、十月にオープンした八ヶ岳有料道路と併せて八ヶ岳山ろく新時代の幕開けとなった』と晴れがましげに書かれています。 万歳山で見送った人、見送られた人ーー時が移ろい、生き残った者も高齢となった現在、人々の気持の中で何が変わったのか、変わらないのか ーー 吹く松風に聞いてみたい。 おはようございます。この道、よく通ります。幹線道路ですよね。橋がかかる前のことなど想像したこともありません。戦争中は松林を抜けて、小道をくだって行ったのでしょうね。今では歩く人も見かけませんが。 平和を訴えるお年寄りのことを忘れ、戦争はいやだが「しかたがない」と、再びなりそうな気配。こわいです。 考える人さん おはようございます。私も、ある古老に確かめるまでは中央高速を走る車の音ばかりが高いここの松林だとは確信が持てませんでした。
ーー田舎の片隅でも国の中央でも、ムードに流され右往左往する人の気持が一番こわいですね。
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