清里・萌木の村 舩木上次さん講演会「必然のまちづくり」@小淵沢 北杜市女連協(女性団体連絡協議会)の活動概念は男女共同参画を基本としていることから、私も2006年12月の第1回講演会「女性専門外来の現場から」以来ほとんど出席している。 今回の講演は、特に地元の産業に根差すものだったから興味があった。 1時を過ぎると、ホールの入口受付には続々と参加者が。男性の姿も もちらほら見かけたが、テーマに惹かれてのことだろう。 覚がない県民・市民に、「その時々のブームに乗らず、ぶれず、誇りを持つ べき」とエールを送るもので、失敗体験、人との出会いなど数々のエピソ ードに裏打ちされた熱い思いが感じられた。 かつて「さびれゆく」と評された清里は今や沈滞の一途、最低の氷河期 にあるそうだ。ご自身も多額の借金を抱えていながら、過去の経緯を 振り返り、全国の成功事例から学ぼうという姿勢はさすがである! このごろ地元出身者による「ちょっといい話」を聞くことが多い。11月 の市制祭の時もそうだった。そのうちに印象に残る言葉を「ほくと語録」 として記録してみようかな。 舩木氏については、取りあえずasahi.comのマイタウン 山梨をご覧ください。 リンク切れの場合は、下欄[MORE]をどうぞ。 (注)旧記事は、カテゴリーをまとめながら整理していく予定。コメントはメールでどうぞ。 宛先 mukaiアットマークmidori-network 21.com http://mytown.asahi.com/yamanashi/news.php?k_id=20000641012080001 asahi/com マイタウン 山梨 単刀直入 「萠木の村」社長 舩木上次さん 2010年12月08日 ■観光業、立て直すには?―発信できる「ザ・山梨」を ⭐️ 観光とは何なのでしょうか。 「観光は寄生虫のようなもの。地場産業などを助ける一つの事業にすぎない。生活の香りが することが大事で、生活感がない観光は成立しない。たとえば、スイスなら牧歌的な雰囲気、 時計、オルゴールといったもの。そういうものを支えるために観光はある。山梨のワインツ ーリズムもとてもいい」 ⭐️ 山梨の観光への評価は。 「ビジョンなし。場当たり的。他県の人が山梨を認識できる『ザ・山梨』というものが何も ない。その土地に主役がいてイメージがあれば、人はそこにひっかかり、観光に行く。何も ない所に人は行かない」 ⭐️ 富士山があります。 「静岡じゃないですか? 県内では宝飾やワインや甲斐絹(か・い・き)と言われているが、 どのワインが代表か、どの宝飾デザイナーが一番かなどとなると、誰も答えられない。 山梨と聞いて何かイメージしてもらうには、もっと分かりやすく説明できるようにしなければ ならない。逆に言うと、それが観光のタイトルになる」 ⭐️ 山梨のタイトルは何が考えられますか。 「絶対的価値を先に考えると、山梨の『ここにしかない』は水。水は世界中の人が絶対に 必要としている。何が他の地域の水と違うかというと、複数の(地球の表面を覆う岩板の) プレートがクロスしており、プレートによって水質が異なる。もう一つの武器は、標高100 メートルぐらいから富士山頂までの高低差。これは北海道から九州までの野菜がとれる 可能性があるということ。 こういう条件を生かして特産品を作ることもできる。そこには必ず人を引きつける『物語』 があるはずだ」 ⭐️ 時間がかかるのでは。 「いいんじゃないの? 簡単にできる物は簡単になくなるんだから。目先のことばかり ではだめだ」 ⭐️ 厳しい観光業界の経営状況を見ると、ブームに乗ることも必要では。 「一時的には乗り越えられるかもしれないが、最終的には変わらない。苦しい時こそ目先 以外を見ないといけない。絶対的価値がある所は突出できる」 ⭐️ 山梨には東京から近いという強みがあります。 「近いも遠いも関係ない。観光は発信力があるかないかだ。山に囲まれているという環境 の方が強みだ。周辺地域とは隔離された独自の文化があり、そういうものをブランド化す るのは他県よりも簡単なはず。その条件を、不便だからといってデメリットと思っているの ではないか」 ⭐️ リニア駅の県内設置に反対しているのも同じ理由ですか。 「高速で観光をする必要があるのか。リニアには、クイーンエリザベス号やパノラマの風景 が楽しめる低速の列車のような優雅さはない。『リニアで観光客を』というのは旅を知らな い人の発想だ」 ⭐️ 駅周辺の活性化という視点もあります。 「駅ができて周辺が栄えるのは発着駅だけだ。便利になった瞬間に資本と人間がどどっと 外から攻めてきて、結果的に地元商店などは衰退する。清里駅前だって、リゾートブームの 時は栄えたが、いまは人がいない。リニアの駅ができることで何を目指すのかというイメージ を統一しなければ活性化にはつながらない」 「今の山梨の人がリニアを活用するだけの力を持っているとも思えない。道具を与えられて も使えないのなら意味はない。身の丈以上のものは無用だ」 ⭐️ B級ご当地グルメの大会で「甲府鳥もつ煮」が優勝したという明るい話題もありました。 「ないよりはあった方がいいが、鳥もつをイコール街づくりとしてはいけない。ギョーザで 有名な宇都宮は、すでに歴史や文化重視の街づくりに動いている。過去、現在、将来とつな がる街づくりを考えずに鳥もつをメーンにしてしまってはおかしくなる。私が生きているうちに は無理だろうが、街づくりは駅伝のようなもの。次の世代にたすきを渡し続けていけばいい」 《略歴》 ふなき・じょうじ 1949年、北杜市高根町清里生まれ。幼いころから清里開拓の父と呼ばれる 故ポール・ラッシュ氏と親交を深める。77年、清里に飲食店や店舗が集まる「萌木の村」を設立。 世界各国のオルゴールを集めた博物館や野外バレエ「清里フィールドバレエ」などの活動が評 価され、2003年に国土交通省から「観光カリスマ」に任命された。 《取材を終えて》 ◇「感動が人呼ぶ」体感 1時間半ほどの取材を終えると、舩木さんが「これをみなきゃだめだ」と、萌木の村のオルゴー ル博物館に連れていってくれた。地方の観光地によくある手のひらサイズのオルゴールが並ぶ 光景を想像して足を踏み入れると、そこには未知の世界があった。 バイオリン3台とピアノが響くドイツ製のオルゴールや、幅4メートルもあるドラムや木琴のオル ゴール。まるでオーケストラがすぐそばにいるかのように部屋全体に響く音色と、機械仕掛けで 奏でられる楽器に、これまでのオルゴールの概念を一気に壊された。「人を呼ぶのは簡単。感 動させればいいんだ」という舩木さんの言葉を、体感させられた。 帰りに、清里駅前を車で通った。人気がなくひっそりし、街灯はさび付いている。「一人でも本 質を追う人がいれば、街全体が元気になれる」という舩木さんの言葉通り、いつかこの駅前が、 かつてのように人であふれかえるのだろうかと、つい考えてしまった。(田中聡子)
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| 2010-12-11 21:40
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